ひとり親からふたり親の時代へー支援者こそマインドセットを!ー共同親権に大事なこと
- rimusubi
- 1月14日
- 読了時間: 5分
更新日:1月14日
「ひとり親家庭支援」という言葉は、長いあいだ社会を支えてきました。経済的にも心理的にも孤立しがちな親子を見つめ、支えてきた大切な取り組みです。
一方で、離婚や別居後の親子支援の現場では、いま少しずつパラダイムシフトが起きています。“ひとり親”を前提にするのではなく、「ふたり親」として親子を支える視点が必要になってきているのです。
特に、来年4月1日施行される離婚後共同親権制度に明文化された”父母の尊重協力”を重視する法改正の流れのなかでは、支援者側のマインドセットが、子どもの将来の親子関係に直接影響していきます。

「ひとり親」前提が生む、子どもへの見えない影響
支援現場では、どうしても子どもと一緒に暮らしている側の親と長く関わります。相談を受け、つらい話を聞いていると、「もう片方の親=加害者・ダメな親」と見えてしまうことも少なくありません。
しかし子どもにとっては、どちらも「たったひとりの親」です。支援者が無意識に、
「お父さん(お母さん)はもういないもの」として扱う
もう片方の親を一括りに「悪い人」とラベリングする
と、子どもは「自分の半分が否定されている」ような感覚を抱きやすくなります。その痛みは、その時は言葉にならなくても、思春期・成人後にじわじわと影響していきます。
これから共同親権が進んでいく社会では、「子どもと両方の親の関係をどう守っていくか」が、より一層問われていきます。そのスタート地点に立てるかどうかを左右するのが、支援者の見立てと言葉です。
ふたり親=仲良し夫婦、ではありません
「ふたり親で支える」と聞くと、「でも、この夫婦はもう仲良くなんてなれない」という声が返ってきます。
ここで大事なのは、ふたり親=“仲良し夫婦に戻す”ことではないということです。
夫婦関係は終わっている
連絡をとるだけでもしんどい
会うのは子どもの送り迎えのときだけ
そんな現実の中でも、
相手を親として否定しない
子どもの前で悪口を繰り返さない
必要な情報は淡々と共有する
といった「父母の尊重協力」は、少しずつ育てることができます。
支援者がこのグラデーションを理解し、「仲良くすること」よりも「争いを増やさない関わり」を一緒に探せるかどうかがポイントです。
支援者に求められる3つのマインドセット
① 子どもを中心に見る
「どちらの言い分が正しいか」よりも、「この子が5年10年後、どんな表情で親を語れるようになっていてほしいか」をイメージして関わる。
いまの関わり方が、子どもの将来の“親子観”をどう形づくるか
子どもが、ふたりの親それぞれと安心して関われる余地を残せているか
を、支援者自身が問い続けることが大切です。
② 「片親 vs もう片方」という構図を降りる
支援者もつい、「この相談者の味方にならなくては」と力が入ります。もちろん、安全確保が最優先のケースもありますが、多くのケースでは
相談者の気持ちに寄り添いながら
同時に「もう一方の親も、この子にとっては大事な存在」という事実を忘れない
という二重の視点が必要です。
たとえば、こんな問いかけに変えてみることができます。
「お相手のことを“親として”見たとき、どんな良さがありますか?」
「お子さんのダメージを最小限にするには、お相手とお子さんがどんな関わりを続いていることが大事だと思いますか?」
ここで特に気をつけたいのが、支援者側からの安易なアドバイスです。
「もう会わせない方がいいんじゃないですか」「何も言わずに子どもを連れて別居してしまった方が早いですよ」
こうした言葉は、一見“相談者を守る”ようでいて、これからの共同親権や父母の尊重協力を重視する法改正の流れの中では、子どもと他方の親との関係を一方的に断った協力的ではない親と評価される可能性もあります。
この点を支援者自身が理解したうえで、「安全を守りながら、親子関係を途切らせないために夫婦から父母としての関係を築くためにはどうしたらいいか」という方向で、一緒に考える伴走が求められています。
③ 長期スパンで親子関係をデザインする
離婚や別居は一時期の出来事ですが、親子関係は“生涯つづくプロセス”です。目先の養育費や面会交流の条件だけでなく、
入学・卒業・進学・就職
病気やトラブルが起きたとき
将来結婚や出産をするかもしれないとき
そこに「ふたりの親」がどう関わっていけるといいか、長い目で一緒にイメージしてもらうことが、支援者にできる伴走です。
共同親権が議論されている今だからこそ、「この子が大人になったとき、両方の親との関係をどう受け止めているだろう?」という視点を、支援者が先に持っておく意味は大きいと感じます。
言葉を変えると、支援の現場が変わる
マインドセットは、日々の「言葉づかい」にあらわれます。
たとえば、こんな言い換えができます。
「ひとり親だから大変ですね」 →「いま、お一人で子育てを背負っている状態なんですね」
「相手に子どもを会わせない方が安全なら、それも選択肢です」 →「安全を最優先しながらも、お子さんが『両親から愛されている』と思える機会をどう残せるか、一緒に考えてみませんか?」
「早く離婚して縁を切り新たな人生を考えた方がいいですね」 →「夫婦の縁は切っても親子の縁を途切らせないようにしながら、あらたな人生を考えられると良いですね。」
もちろん、子どもに危害を与える親は更生が必須ですが、言葉が変わると、相談者の「考える方向」も自然と変わります。支援者が先に“ふたり親の視点”に立つことが、親のマインドセットの変化を促す一歩になります。
おわりに─支援者が変わると、子どもの未来が変わる
これから共同親権施行に伴い共同養育の流れが強まる中で、いちばん大きなカギを握っているのは、離婚に悩む父母のファーストタッチポイントとなる「支援者のマインドセット」だと感じています。
ひとり親か、ふたり親か
どちらの親の味方かではなく、「この子が、ふたりの親との関係をどう受け取って成長していけるか」を一緒に考えてくれる支援者が増えること。それが、離婚・別居を経験した子どもたちの未来を、静かに、でも確実に変えていきます。
現場で使えるたったひとことの言い換えからでもかまいません。今日から一緒に、「ひとり親」前提から「ふたり親で支える社会」へのシフトを始めていけたらうれしいです。



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